毛包幹細胞の発生起源を解明

毛を作り出す「毛包」と呼ばれる器官が形づくられる仕組みについて、理化学研究所のグループがマウスの細胞を詳細に解析することで解明したと発表しました。
再生医療への活用が期待できるとして注目されています。

毛包とは、毛を産生する哺乳類の皮膚付属器官のことです。毛包幹細胞は、毛包を構成する細胞を供給する源の細胞で、毛包のバルジと呼ばれる領域に存在することが知られています。幹細胞は、長期の自己複製能とさまざまな細胞を生み出す多分化能を併せ持っています。

参考:理化学研究所
https://www.riken.jp/press/2021/20210610_1/

細胞が毛包幹細胞に!

毛は、毛穴から奥に続く「毛包」と呼ばれる筒状の器官から作り出されますが、毛包が成長の過程でどのように形づくられるのか、いままで詳細は分かっていませんでした。
今回、理化学研究所生命機能科学研究センターのグループは、特殊な顕微鏡を使ってマウスの毛包ができていく様子を細胞単位で撮影し解析。
その結果、当初は平らな皮膚の上に4種類の細胞が同心円状に並んでいますが、それぞれの種類の細胞が段階的に皮膚の奥に成長していくことでまるで伸縮式の望遠鏡を伸ばすように筒状の毛包ができることが分かったというのです。
研究グループは、この伸縮式の望遠鏡が伸びるように発生する毛包の形態形成様式を「テレスコープモデル」と名付けました。
これは、ショウジョウバエ胚発生における肢原基の形成機構にもよく似ていることから、哺乳類以外の生物種の器官発生にも共通する普遍的な形態形成システムである可能性があるのだそうです。
さらに、この同心円の中の1種類の細胞が、毛が生える際に重要な働きをする毛包幹細胞」という特殊な細胞になることも初めて確認したというのです。

さらなる応用・発展も期待

研究グループのチームリーダーは
「今回の成果でiPS細胞などから毛包幹細胞を生み出したり、増やしたりする技術の発展につながる可能性がある。今後の再生医療の研究に活用できるのではないか」と話しているそうです。

また、この研究の応用面として、ES細胞やiPS細胞など多能性幹細胞からの毛包幹細胞の誘導・増殖・分化の制御技術の発展が期待できます。
本研究により、毛包幹細胞の正しい細胞系譜とその遺伝子発現変化が明らかとなりました。
これらの情報を多能性幹細胞からの分化状態のロードマップにすることで、ES/iPS細胞から効率良く質の高い毛包幹細胞を分化誘導できる可能性が高まります。

毛包の成り立ちが分かったと。そして、それをES細胞やiPS細胞といった多能性幹細胞の
技術と組み合わせることで更なる制御技術の発展が期待できるといいます。
毛包幹細胞を新たに生み出せるというのは、すなわちハゲた部位を何とかできるということにつながります。これと親和クリニック大阪院で私が行なった自毛植毛と組み合わせれば、すっかり進行してしまったAGA(男性型脱毛症)による薄毛化にも対処できるようになる可能性を秘めていると思われます。
現在でも研究が進められているiPS細胞などを活用した毛包の培養技術に加え、今回の研究結果の進展における新たな毛包幹細胞の産生。自毛植毛によるAGA克服術が、いま以上の発展を遂げるであろう期待感が満載です。
とはいえAGAは進行性です。これら技術の実用は未だ見えない現状、いまできる術を駆使して食い止めるに越したことはありません。
AGAによる薄毛化に悩まれている方は、専門医への無料カウンセリングをお勧めします。