タウリンが老化を遅らせる可能性

オンライン・ジャーナル・サイトのScienceにて、たんぱく質が分解される過程で出来るアミノ酸に似た物質であるタウリンが、身体の老化を遅らせる作用を持つ可能性があるという研究論文が掲載されていました。


論文によると、研究グループは体内のタウリン量は年齢とともに減少することを確認。
タウリンを補給すると、DNA損傷の増加、テロメラーゼ欠損、ミトコンドリア機能の障害、細胞老化などの主要な老化マーカーが遅くなることを発見したと発表しています。
タウリンの損失は加齢に関連した疾患と関連しており、タウリンとその代謝産物の濃度は運動に応じて増加。動物を使った実験では、タウリンの補給によりマウスの寿命が延長され、サルの健康寿命が延長されたのだそうです。

参考:Science
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abn9257

タウリンって?

タウリンとは、たんぱく質が分解される過程でできるアミノ酸に似た物質のことです。
魚介類や軟体動物に多く含まれ、消化管内でコレステロールの吸収を抑える働きなどを持っています。

タウリンは胆汁酸と結びつくことでコレステロールを消費してコレステロールを減らします。
また心臓や肝臓の機能を高めたり、視力の回復や高血圧の予防したりするなど多様な効果があるといわれています。
人間の体内でも作り出せますが、必要量には足りないので食品から取り入れる必要があります。

参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-017.html

参考:農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1803/02.html

マウスは寿命が延びた

これまでの研究でタウリンは、血中の濃度が健康状態と相関があることが示されていました。しかし、血中のタウリン濃度が老化に影響を与えるかどうかは不明でした。
これに対処するため、研究グループは老化時の血中タウリン濃度を測定し、いくつかの種の健康期間と寿命に対するタウリン補給の影響を調査しました。

タウリンの血中濃度は、マウス、サル、ヒトでは加齢とともに減少します。
この低下が老化に寄与しているかどうかを調べるため、実験用の動物にタウリンまたは対照溶液を1日1回経口摂取させました。
タウリンを与えられた雌雄のマウスは、対照マウスよりも長く生存しました。
タウリンを投与したマウスの寿命中央値は10~12%延長し、28か月時点での平均余命は約18~25%も延長しました。

有意義なアンチエイジング療法は、寿命を延ばすだけでなく、健康寿命、すなわち健康的な生活の期間も延ばす必要があります。
そこで、タウリンを与えた中年マウスの健康状態を調査したところ、骨、筋肉、膵臓、脳、脂肪、腸、免疫系の機能が改善されており、全体的な健康寿命が延びていることがわかりました。

また、研究グループはサルでも同様の効果を観察しました。観察されたタウリンの効果が種の境界を超えているかどうかを確認するため、タウリンの補給により線虫や酵母の寿命が延びるかどうかを調査しました。
タウリンは単細胞酵母の複製寿命には影響を与えませんでした。しかし、多細胞虫の寿命を延ばしました。
タウリン補給が健康寿命と寿命を改善するメカニズムの研究により、タウリンが老化のいくつかの特徴にプラスの影響を与えることが明らかになったと言います。
タウリンは細胞の老化を軽減し、テロメラーゼ欠損から保護し、ミトコンドリアの機能不全を抑制し、DNA損傷を減少させ、炎症を軽減します。
ヒトにおける代謝物の臨床危険因子の関連分析により、タウリン、ヒポタウリン、および ミトコンドリアの機能不全を抑制し、DNAの損傷を減少させ、炎症を軽減しました。
さらに、運動を続けると血中のタウリン代謝産物の濃度が上昇し、これが運動の老化防止効果の一部の根底にある可能性があることも分かったと言います。

アンチエイジングに効果的なのか

研究グループは、タウリンの量は加齢とともに減少すること、そしてタウリンの補給によってこの減少が逆転すると、マウスや線虫の健康期間と寿命が延長され、サルの健康期間が延長されることが判明しました。これにより、タウリン欠乏がこれらの種の老化の要因であることが特定されたと述べています。
そして、タウリン欠乏症が人間の老化の原因であるかどうかをテストするには、結果として健康寿命と寿命を測定する、長期にわたる適切に管理されたタウリン補給試験が必要だとまとめています。

このタウリンですが、日常生活で気軽に摂取しようとするのであれば、やはり栄養ドリンクやサプリメント類が一般的だと思われます。
海外では缶入りのエナジードリンクに配合されている場合もあるらしいですが、日本国内で販売されているものにはタウリンは未配合のようです。

アンチエイジングに効果的なのは魅力的な情報です。
老化を予防できるということは、シワやたるみなど肌のトラブルはもちろんのこと、抜け毛や薄毛も(ある程度は)予防してくれることが期待されます。
ルッキズムの考えを持ち出すわけではありませんが、人は見た目を気にしてしまう生き物です。若々しさを維持できるのであれば、積極的に摂り入れる方も多いのではないでしょうか。

AGA(男性型脱毛症)は老化現象ではない

老化を抑制できたとしても、抜け毛や薄毛の原因がAGAである場合は、タウリンを摂取したところで抑制はできません。AGAは遺伝由来の脱毛症状ですので、身体の老化に起因するものではないのです。
私は、20歳代前半でAGAに起因する頭頂部の薄毛化が始まりました。
AGAを抑制するためには、医薬品である内服用や外用の発毛薬を常用するか、AGAの効果が及ばない後頭部の毛包を薄毛化が進む部位に自家移植する「自毛植毛」が現時点ではベターな選択です。

私は40歳代に入ってから梅田の親和クリニック大阪院にて自毛植毛を施術してもらいました。AGAの進行していた私は理想どおりに対処できるギリギリのラインだったと言われました。AGAは進行性であり、人によってハゲてしまう部位の拡がり方には大きな差があります。そのため薄毛を避けたいとお望みの方は、少しでも早い対処が効果的です。

現在進行形で薄毛化に悩まれているのであれば、とにかく専門医のもとへ相談に行ってください。カウンセリングだけなら無料で行なえます。