生活習慣による薄毛や脱毛のメカニズム


幹細胞医学の世界的な権威である、東京大学医科学研究所の西村栄美教授をはじめとする東京医科歯科大学と東京大学などのグループが、高脂肪食により肥満誘発ストレスが、毛包幹細胞(HFSC)を標的として薄毛を加速させることが、研究により確認したと発表しました。

参考:nature
https://www.nature.com/articles/s41586-021-03624-x

参考:国立研究開発法人日本医療研究開発機構
https://www.amed.go.jp/news/release_20210624-02.html

研究グループは、生後22か月のマウスに脂肪が多く含まれた餌を与え、生活習慣が毛の再生にどのように影響しているかを調査。
その結果、脂肪の多い餌を1か月ほど与え続けたマウスの毛が薄くなるのに対して、通常の餌を与えたマウスでは大きな変化は認められなかったと報告しています。

毛は毛穴にある毛包幹細胞によって再生されますが、グループの詳細な調査において、脂肪の多い餌を食べ続けたマウスは、毛包幹細胞に中性脂肪がたまることで、同細胞が表皮などに変化していることが判明したと言います。

若いマウスに4日間連続して高脂肪食を与えると、活性酸素種が過剰に生成されることにより、活性化毛包幹細胞が表皮の角質化に向けられたが、毛包幹細胞は減少しなかった。
しかし統合分析では、高脂肪食をさらに供給すると、その後に毛包幹細胞内に脂肪滴とNF-κB(転写因子として働くタンパク質複合体)の活性化が誘導されることが示されました。これらの統合された要因は、毛包幹細胞におけるソニックヘッジホッグ(Shh)シグナル伝達の顕著な阻害に収束します。
それにより、脂質を含んだ毛包幹細胞は、それらの異常な分化を介してさらに枯渇し、毛包の小型化と最終的な脱毛を誘発します。
つまり、毛包幹細胞のなかで酸化ストレスや脂肪滴、炎症性シグナルが段階的に発生し、幹細胞と毛を再生させるShh経路を抑制。毛包幹細胞においてShh経路が抑制されると、毛包幹細胞が表皮または脂腺への分化によって失われ、これにより毛包のサイズが縮小され毛が細くなることが明らかになったということです。

そして、これらのデータは肥満によって誘発される幹細胞の炎症シグナルが臓器再生シグナルを強力に抑制してミニ臓器の小型化を加速することをまとめて示しており、臓器機能障害の毎日の予防の重要性を示唆しているそうです。

(※補足) ソニック・ヘッジホッグ(SHH)とは、細胞外シグナル因子の1種で、胚発生において細胞の増殖や分化、四肢の発生、神経細胞の誘引に働くほか、成体期においては幹細胞性の維持や腫瘍形成などに関与する多機能タンパク質のことだそうです。

高脂肪食の摂取で薄毛が加速

薄毛や脱毛といった症状の発現は、加齢によって引き起こされるものであることは既知の事実ではありましたが、生活習慣によって同現象が起こるメカニズムを解明したのは初めてだというのです。
西村栄美教授によると、ヒトでも同様の仕組みがあると考えられると言います。中高年になると影響はさらに大きくなる可能性があるので、脱毛を防ぐためには日々の食事など生活習慣を見直すことが重要だと話していらしたそうです。

今回の研究により、高脂肪食の過剰摂取や遺伝性の肥満がマウスの脱毛症の発症を促進することが示されたと。そしてそれらは、早期からの予防的介入により毛包幹細胞を維持することで脱毛症の進行を抑制できると言います。

つまり、脂たっぷりの食事は健康を阻害するうえに薄毛化まで加速してしまう要因になってしまうということです。
日常的な高脂肪食の摂取ということは、すべての人とは言いませんが肥満につながる要因のひとつでもあります。
肥満の状態は、決してパーフェクトに健康的であるとは言えません。日常的に脂肪分の多い食事をなるべく抑えて、肥満になりすぎないよう留意した食生活を心掛けることが、肥満はおろか薄毛化の予防にもつながるということです。

まとめ

AGA(男性型脱毛症)に起因する薄毛化とは別問題となります。
AGAは遺伝性のため、食生活を整えていたところで発症する人は否応なくハゲ化が進行してしまいます。
生え際の後退やつむじ周辺の薄毛部拡大など、顕著な症状が見え始めましたら、それはAGA発症の分かりやすいサインです。
薄毛化を食い止めるご意思があるのであれば、是非とも専門医のもとへ相談に向かってください。多くの専門クリニックで、カウンセリングだけなら無料で行なえます。
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