柑橘類の成分が頭髪の成長を活性化!?

海外のオープンアクセスジャーナルサイトにて、柑橘類の成分であるリモニンが毛乳頭細胞の成長期シグナル伝達を活性化するとの研究の概要が掲載されていました。

参考:MDPI ジャーナル
https://www.mdpi.com/2072-6643/14/24/5358

 

 

 

そもそもリモニンって?

リモニンとは、フラノラクトンの1種のリモノイドに分類される有機化合物の一種です。
オレンジやレモンなどミカン科の果実に含まれ、特に種子には高濃度で含まれていることが多いものです。
また、ミカン科植物を原料とする生薬の呉茱萸や黄柏にも含有されています。
常温常圧では白い結晶性固体として存在する物質で、苦みがあります。

天然成分由来の発毛薬が望まれる

この研究は韓国の大学や自然医学研究センターで行なわれているものです。

脱毛は人間の健康に影響を与えませんが、脱毛患者の自信の欠如は、対人関係や社会的適応に困難を引き起こす可能性があります。
世界中で脱毛症患者数は性別や年齢に関係なく急速に増加しており、年間100万人を超える人々が脱毛の治療を求めているとも言われています。

発毛薬で有名なフィナステリドは2型5α-レダクターゼの阻害剤であり、テストステロンからジヒドロテストステロン(DHT)への変換を阻害することにより、強力なアンドロゲンであるDHTの産生を阻害します。
高レベルのDHTおよびアンドロゲン受容体がAGA(男性型脱毛症)の患者で観察されており、フィナステリドがこれらの作用を通じて有効であることを示唆しています。
ただし、これら医薬品には頭皮の刺激や不妊症などの副作用があり、そういった副作用のリスクを軽減する必要があり、脱毛治療に有効な安全な天然物を特定する必要性が高いとまとめられています。

皮膚疾患に有用性が

柑橘類は一般的にジュースや食品などとして消費され、さまざまな生理活性化合物が含まれています。
特に、成熟した果物と比較して、未熟な柑橘類はフラボノイドの含有量が多く、健康上の利点が実証されており、いくつかの研究では未熟な柑橘類がアトピー性皮膚炎や老化などの皮膚疾患に効果があることが報告されているのだそうです。

リモニンは柑橘類に豊富に含まれるトリテルペノイド(注1)であり、その治療効果はさまざまなヒトの疾患で報告されています。
リモニンはアポトーシスを誘導するだけでなく、毒性のない濃度でドキソルビシンの細胞毒性を増強することにより、ヒト結腸腺癌細胞における化学療法剤の有効性を増強しました。
しかし、リモニンが発毛を促進したり、脱毛を抑制したりする可能性についての報告はありません。

脱毛を改善するための新しい材料を特定することに焦点を当てた研究の大部分は、マウスモデルまたは毛包培養を使用しています。
ただし、これらのモデルは、培養細胞を使用した研究と比較してかなりの時間と労力を必要とします。
この研究では脱毛を改善するための効果的な材料を見つけるため、頭髪の再生と発毛に不可欠なDPC(毛乳頭細胞)の3D細胞培養モデルを使用し、リモニンが成長期シグナル伝達を活性化することによって誘導効果を持っているかどうかを調査したと言います。

具体的には、細胞増殖とオートファジーに対するリモニンの影響に注目。
根底にあるメカニズムをさらに調査するため、細胞周期阻害を通じて細胞増殖を調節するサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を含む細胞周期および増殖調節因子への影響も調べたと言います。

注1:脂溶性の化合物群を指します。天然のトリテルペンやトリテルペン配糖体には抗炎症や抗腫瘍、発がん予防、血糖降下、抗高脂血, 肝保護, 抗ウイルスや抗菌作用など多彩な生理機能が報告されているのだそうです。

研究は始まったばかり

まとめるとリモニンは脱毛改善に活用できる可能性を秘めている、これから研究していきます。といった内容の発表記事になります。
リモニンと同じく柑橘類に含まれているリモネンは、リラックス効果や血流改善の効果があるとされています。
その血流改善効果から、一部では抜け毛やフケ、痒みを抑制する効果もあるとされています。
アロマセラピーの世界では柑橘系の精油がダイエットに効果的とされており、これもリモネンが交感神経を活性化させることで脂肪を分解する働きがあると言います。
ちなみに溶剤としての側面も持ち、スチロール樹脂を溶解する性質があり発泡スチロールの安全な溶剤として注目されていると言います。

いずれにしても、研究はまだまだこれから時間がかかると思われます。
しかし薄毛がAGAに起因するものであった場合、発症してしまうと脱毛症状は頭皮を侵食していきます。
初期段階はつむじ周辺の薄毛化や生え際の後退。それから速度は人によりますが、齢を経ることで頭部の無毛地帯が拡大していきます。
AGAによる薄毛化を食い止めるためには、ライトなものですとフィナステリドやデュタステリドといった発毛剤の服用やミノキシジルの概要が挙げられます。

AGAと「自毛植毛」

AGAへの直接的な対抗手段として、私も梅田の親和クリニック大阪院でお世話になった自毛植毛があります。

自毛植毛は後頭部周辺の、AGAの影響を受けない部位から毛包を含む移植株を採取し、AGAの影響で薄毛化が顕著な部位へ植え付ける外科的手術です。
親和クリニック大阪院では数多の症例を手掛けてきた凄腕ドクターたちが、独自の手法であるMIRAI法を駆使して患者に寄り添った自毛植毛を行なってくれます。

40歳代で自毛植毛を受けた私は進行が早く、納得のいく仕上がりを望むにはギリギリの状態でした。AGAは進行性ですので、食い止めるための手段を講じるには進行しきっていない状態が望ましいです。
そのため、薄毛を気になさっている若い方は一人で悩みをつのらせるのではなく、気軽に専門医へ相談なさってみてください。
その先には、どのような形であれ光明を見出すことができることと信じています。
もちろん、私のように齢を重ねてからの施術でも十分に対抗できます。
どんどん薄毛化が進んでいく悩み、人からイジられ好奇の目にさらされる悩み。薄毛の悩みは人により様々です。
思い悩むだけの自分から脱却しませんか。カウンセリングだけなら無料で受診できますよ。