ロボット導入が進む医術

株式会社メディカロイドが開発した国産初の手術支援ロボットシステム「hinotori」。
これは、手術器具や内視鏡を取り付けた4本のアームが特徴的な手術用ロボットで、ドクターは患者から離れた場所で内視鏡の3Dの立体画面を確認しながら、遠隔操作でアームを動かして手術を行ないます。
株式会社メディカロイドは、川崎重工業とシスメックス株式会社という神戸を拠点とするふたつの企業が共同出資した企業であり、開発にあたっては神戸大学のドクターからの意見や助言を反映。オール神戸という布陣で製造される、純日本製の医療ロボットです。

参考:医療ロボット hinotori
https://www.medicaroid.com/product/hinotori/

 

従来はアメリカ製が独占

hinotoriが開発されるまで、手術支援ロボットはアメリカ合衆国のインテュイティブサージカル社が製造する「da Vinci Surgical System(ダ・ビンチ)」の独擅場だったといいます。
日本国内の医療現場においても、上記のダ・ビンチが数多くの病院に導入されています。
日々、活用している現場の日本のドクターたちのあいだで、使用に当たっての新たなニーズが生まれたとしても、いままでは改良されるまでには至らなかった理由として、開発がアメリカの企業で、アメリカ基準で作られているためだといいます。

しかし、hinotoriは純国産のロボットシステムであるため、医師と技術者が何度も話し合いを重ねて完成させることができたと言います。

参考:MBS ミント!
https://www.mbs.jp/mint/news/2021/03/29/083442.shtml

自毛植毛でも導入される医療ロボット

私はAGA(男性型脱毛症)による薄毛化の悩みを解消する最も有効な手段は自毛植毛だと思っていますが、この手術を行なう際にも一部のクリニックでは医療ロボットを導入しています。それがARTAS植毛と言われている植毛手術です。
この手術では、医療支援機器のロボットアームが、グラフトの採取、スリットの作成、グラフトの移植という3つの工程を、高精度なAI機能によりオートメーションで行ないます。

先にご紹介したhinotoriはドクターがリアルタイムに画像を見ながらアームを操作し遠隔手術を行ないますが、植毛ロボットでは、AIが患者の状態を判断して採取や植毛を行ないます。この点が最大の違いです。

私が実際に自毛植毛手術でお世話になった梅田の親和クリニック大阪院では採用されていませんが、機器についての解説はHPに記載されていましたので引用にてご紹介します。

ARTAS植毛という植毛方法は、2011年にFDAが認可した、植毛ロボットによる植毛方法です(日本では未認可)。これは人間の代わりにロボットがドナーをくりぬいてくるだけですが、新しい機械です。ただし、現在ARTAS植毛を行っているクリニックはごく少数となります。

参考:親和クリニック 自毛植毛の歴史について (中段付近に解説があります)
https://shinwa-clinic.jp/about/drcolumn/09/

ロボットよりも信頼できるドクターを

私は親和クリニック大阪院での自毛植毛手術を決断するまでに、数多くのクリニックや医療技術について下調べをしました。
そのなかにも医療ロボットによる植毛を行なうクリニックもありましたが、当時の私はロボットによる工程に不安を感じ、選択肢から除外したことを覚えています。

複数のクリニックで無料カウンセリングを受け、現場のドクターによる診察や説明を受けていくうちに、やはり自毛植毛をお願いするのであれば、医療ロボットではなく経験豊富なドクターの手による手術が良いと思いました。また医療ロボットを利用した植毛手術を調べている時にグラフトの採取率がドクターの手技のほうが高いという意見も見つけました。これはサイトの情報なので、真偽は定かではありませんが、諸々勘案して選択肢から外したわけです。

技術の進歩は大歓迎

最近の製造業ではオートメーション化による経費削減は至上命題になっています。医療ロボットhinotoriも、過疎地域や離島など遠隔治療で活躍が期待されています。

技術の進歩は大歓迎です。先進技術の開発・導入により、救われる命がひとつでも増えるのは喜ばしいことです。

自毛植毛の現場ではまだまだ医療ロボットの導入が進んでいません。これにはロボットの信頼度や人間の技術力との差など原因は様々ありそうです。
しかし、技術は進歩しています。医療ロボットの開発が進めば、医師の人件費が抑えられるため、手術費用の軽減が期待されます。
そう考えると開発技術者にはもっともっと頑張ってほしいところです。