ゲノム(遺伝子)編集によってしわや抜け毛を解消し老化を止める?

DIGITAL TRENDS
https://www.digitaltrends.com/cool-tech/reversing-wrinkling-balding-mice/

nature.com
https://www.nature.com/articles/s41419-018-0765-9

アラバマ大学バーミングハム校の研究者が、ゲノム編集により生物の老化を人の手で操作できないかという研究をしているそうです。
ゲノム編集という聞きなれない言葉ですが、これは簡単に言うと生物の遺伝子を人為的に改変する技術のことです。

標的となる遺伝子を意図的に組み替えることで、遺伝として組み込まれている事象を変えてしまうのです。
この技術が発展するとヒトの受精卵等の生殖細胞に応用され、所謂デザイナーベビーの誕生へと繋がりかねないという倫理的な問題も含まれています。
こうしたことへの配慮から、日本国内では、厚生労働省によるガイドラインで、生殖細胞と受精卵の遺伝子改変を着床の是非に関わらず全面的に禁止しています。
そんなゲノム編集を活用して、同大学の研究者は実験マウスの老化過程の特徴である、
しわを寄せた皮膚と脱毛を逆戻りさせる方法を見つけたそうです。

彼らは誘導された老化プロセスの影響を、人為的に打ち消すため、そのプロセスを逆転させることに成功したそうです。
前にも記しましたが、いくら植毛手術(=自毛植毛手術)が画期的な方法であっても加齢による脱毛はふせげません。デザインによる対処にも限界はあります。もし、そんな時計の針を戻すような技術が開発されれば、植毛手術も必要なくなるかもしれません。

ミトコンドリアのDNA含量やミトコンドリア機能の低下は、高齢のヒトでも観察されています。ミトコンドリア機能の低下がしわや毛髪の喪失につながることを示すためにマウスを使い実験を行なったところ、ミトコンドリア機能を回復することによって皮膚のしわを正常な健康な状態に戻し、また毛の成長が回復できる成果を得たそうです。

実験は、まず、ミトコンドリアDNA枯渇プロセスを実験マウスへ実施。
これは実験マウスが食物エネルギーを細胞が使用できるものに変換する能力を奪うもので、
その結果、マウスはしわを帯びた皮膚や目に見える脱毛を発症しました。言ってみれば、これらは正常な老化プロセスです。

そして、その状態からミトコンドリアの機能不全の原因となる遺伝子を消すことにより、
ミトコンドリアの機能を回復させると、マウスに滑らかな皮膚と厚い毛皮が戻ったそうです。
実験の後、マウスは同じ年齢の他の健康なマウスと区別がつかなかったようです。

これらの結果を踏まえて研究者は、この方法を将来ヒトに適用することができると考えているようです。

ヒトは年齢とともにミトコンドリア機能が低下してしまいます。
皮膚や脱毛の変化に加え、心血管疾患、糖尿病、加齢に伴う神経学的障害、
特定の癌などの疾病を引き起こす場合もありますが、これを打ち消すことができたら…
それはとても嬉しいですよね。

研究チームは現在、老化した人のミトコンドリア機能を回復させることができる薬剤を開発しているそうです。
完成したら、しわが発生せず、毛髪の喪失も防ぐことができると。
このように高齢者の生活の質を改善する可能性があることは確かなのですが、
研究チームの主目的は、治療の結果として髪を失う化学療法を受けているガン患者を助ける方法を見つけることだそうです。

いずれにせよ、老化を食い止めることへの研究は注目していきたいですね。
AGAも遺伝的な要素を含む症状ですのでなおさらです。

いつでも若い体に復活できる魔法の薬が出来たら、私達より女性が先にとびつきそうですが…。