3Dプリンターで皮膚や骨を作り出す技術

梅田の親和クリニック大阪院で自毛植毛手術をしたことから、いつもは頭髪のことに関しての話題を取り上げているこのページですが、今回は目先を変えて未来を感じさせる医療技術について紹介します。

火星まで人類を送り込む壮大な宇宙計画の一環として、ドレスデン工科大学病院の科学者チームが医療技術が限られている宇宙での皮膚移植や骨移植といった医療措置を行うために、人間の血漿を材料にして3Dプリンターで皮膚や骨を作り出す新技術が開発したそうです。

ESA(英語の記事です)

http://esa.int/Our_Activities/Space_Engineering_Technology/Upside-down_3D-printed_skin_and_bone_for_humans_to_Mars

地球から火星や他の惑星間を航行するには数年にも及ぶ時間が必要となります。
惑星間航行では乗組員にかかるリスクが多く、けがや病気を起こしたとしても即座に地球へ戻ることは叶いません。
宇宙船という限られたスペースと質量では、起こりうるあろうあらゆる事態に対応できる、
十分な医療用品を運ぶことは不可能なのです。
そのような危機的状況に対処すべく、3Dバイオプリンティング機能により、必要とされる
人体の部位を作り出し、発生した医療的な緊急事態に対応しようというのです。
火傷の場合ですと、宇宙飛行士の身体の他の部分から移植する代わりに、真新しい皮膚をバイオプリントし、軌道環境(宇宙空間での環境)では容易に治癒しない傷などを治癒します。

同じ骨を作り出し負傷部と交換移植

火星の重力は地球上の0.38、そして宇宙空間は無重力です。
そのため骨折した場合は、完治までに騒擾以上の時間がかかってしまいます。
骨折状態を治すために、3Dバイオプリンティング技術で新たな骨を作り出し、折れた骨と交換移植する可能性も視野に入れて研究しているそうです。
皮膚に骨、いずれの場合も、バイオプリントされた素材の元となる物質は血漿であり、
宇宙飛行士自身から採取されるものであるため、移植拒絶の問題はないとのこと。

まったく、とんでもない技術が開発されたものです。
人体の一部を利用して、人体の血漿を利用して、新たな皮膚や骨を作り出してしまう。
素材元は同じ人間のものであるため、拒絶反応もナシ。
この点は自毛植毛でも同じです。移植部へのドナーとなる株は、
移植者の後頭部や側頭部などAGAの影響を受けない部位から採取します。

この3Dバイオプリンティング技術でも同様ですが、生体間での皮膚や臓器などの移植では、拒絶反応が大きな問題となります。同じ人間から移植素材を採取することで、拒絶反応は極力、抑制することができます。無いとは言い切れないでしょうが、かなりリスクは抑えられます。その辺は、植毛手術と同様です。

まだ未来の話。でも…

ちなみに私がこの記事で注目した点は、もちろん素晴らしい技術そのものもありますが、
やはり皮膚移植に関してです。
もしも頭部をけがしたとして、頭皮の皮膚移植という事態になった場合、毛穴はどうなるのだろう?
宇宙空間や地球以外の惑星場という極限状態において、頭髪のことを気にする人はいないとは思いますが。
この技術が(地球上で)一般的になった場合、その問題は発生すると思います。その頃には、毛穴も含め再生する技術が出来上がっているのでしょうか。

この件は軍事ではありませんが、古くから最新技術は軍事などから生み出されてきました。
私たちが日常的に使用しているインターネットやGPSなどもそうです。
まず一部の分野で先鋭的な技術が開発され、それが民間にも導入され広く使われるようになるわけです。
この医療行為の新技術に関しても、宇宙空間という特殊な状況下だけでの運用ではなく、
いつかは私たちの日常に降りてくる可能性があります。

そんな日を夢に見つつ、今日もまた育毛に励みます(笑)