頭皮の水虫ってご存知ですか?

水虫と言えば足の裏が痒くなったり、皮膚が剥がれたりする症状が想像され、大したことのないものだと思われがちですが、白癬と言う立派な皮膚病です。
カビの一種である白癬菌が皮膚の角質層に寄生することで起こります。
白癬菌は足部以外にも手や身体に感染しますが、9割近くは足に感染します。
その理由は、日常的に靴や靴下を履くため足が蒸れてしまい、菌にとって過ごしやすい高温多湿な環境を作るからです。
また、水虫というと男性の病気というイメージがありますが、ブーツなどの影響もあり、男性に限らず女性も水虫に悩む人が多いようです。

そんな白癬ですが、実は頭部にも感染することをご存知でしょうか?
頭部の白癬はシラクモ(頭部白癬)と呼ばれており、白癬菌が頭髪に寄生して生まれる皮膚病です。
シラクモは、戦前によく見られましたが現在は稀な病気です。理由は様々ですが、戦前は現在より帽子やヘルメットをかぶる習慣が定着していましたが、その習慣が薄らいだことが大きな原因と言えそうです。
そんな背景もあり、現在では珍しい病気と言えますが、完全に無くなったとは言えない状況です。

シラクモの症状は?

シラクモの主な症状は楕円形に髪の毛が抜け、表面にフケの様な細かい鱗屑がみられます。ただ、痒みなどの自覚症状はありません。

また、脱毛している部位内の頭髪は抜けやすくなってしまいます。
円形脱毛症や脂漏性皮膚炎(フケ症)と誤診されることがあり、ステロイド系の外用薬を使用すると、おできのようになり、膿んで痛みを伴います。
これをケルズス禿瘡と呼ばれ、ステロイド外用薬の誤用により発症してしまう症状です。

禿瘡は、頭皮に痛みと炎症を伴う腫れた大きな皮疹が現れ、そこから膿がにじみ出ることもあります。水疱が現れてかさぶたができることもあり、内部に膿がたまった空洞である膿瘍が起こる場合もあります。
禿瘡は真菌に対する免疫系の反応によって引き起こされ、瘢痕を残した脱毛に至ることもあります。

シラクモの症状は、頭皮に乾燥したうろこ状の斑や斑状の脱毛、またはその両方が生じます。
治療では抗真菌薬の内服薬を服用します。小児に対しては抗真菌薬クリームと硫化セレンシャンプーを使用して対処します。

シラクモの厄介な特徴

シラクモを引き起こす皮膚糸状菌は感染力がとても強く、治りにくいことも特徴です。
これは足の水虫と同様です。

シラクモは明らかな自覚症状がないまま時間が経過することも少なくないため、明確な診断までに時間がかかることがあります。そのため、この期間内に、知らず知らずに周囲の人に病気を広げてしまうことも懸念され、感染力が高い病気と言えます。
つまり、新型コロナウイルスと同じように、感染力の高いウイルスや菌は、自分がかからないように注意することはもちろん、他者にうつさないような配慮も必要です。そういう意味で対処の難しい厄介な病気と言えます。

まとめ

今回紹介したシラクモ(頭部白癬)に加え、ホルモンバランスの乱れや過度なストレス、栄養バランスの偏り、もちろんAGA(男性型脱毛症)など、頭髪が抜けてしまう原因は多種多様です。
ただ、薄毛の悩みは、私が親和クリニック大阪院で行いましたが自毛植毛手術や投薬など様々な方法で対処できます。そして命に係わるような症状ではないという分だけ、新型コロナの問題と比べれば、深刻なものではないのかもしれません。

しかし、悩みを抱える本人にとっては大問題です。原因が分かれば、対処策もはっきりしますので、まず、専門家に診察してもらうことが重要です。