赤ちゃんがミノキシジルで多毛症を発症

スペインで16人の子どもたちが、薬を服用したことで全身に毛が生えてしまったとニューズウィークが伝えています。

記事によると、複数の赤ちゃんが汚染された薬を服用したところ、全身から毛が生えてきてしまったとのこと。

この症状はいわゆる狼男症候群と診断されていているそうです。

 

ニューズウィーク誌(英語の記事です)

https://www.newsweek.com/babies-develop-werewolf-syndrome-drugs-contaminated-1456293

 

多毛症を生んだ胃薬

問題となった薬は、胸焼けなどの過剰な胃酸によって引き起こされる症状を治療するために使用されるオメプラゾールの製剤。

スペインの厚生省と社会福祉省の声明によると、子供たちが服用した薬は薄毛治療薬であるミノキシジルで汚染されていたとのことです。

製造元の製薬会社は問題のオメプラゾールをインドから輸入し、スペインの健康製品庁はインドでミノキシジルが混入したと確認。

すぐに回収されたが、この薬を子どもに与えていた場合は念のため医療機関を受診するよう警告しているそうです。

子供たちが服用したオメプラゾールは、一般的な成人が服用するカプセル状のものとは形状が異なっていたそうです。

子供はカプセルを飲み込むことができないため、薬剤師は特別なオメプラゾールシロップを準備する必要があるのです。

スペイン保健省によると、オメプラゾールの服用をやめた子供たちは、全身から髪の毛が生えてくる状態から脱したそうです。

 

治療法が確立していない多毛症の恐怖

 

多毛症は、同じ年齢、性別、人種の毛髪と比較した場合、体のあらゆる部分から過剰な毛が生えてくるのが特徴です。

まれなケースでは、スペインのように薬物によって引き起こされるのではなく、病気として遺伝する場合もあるのだとか。

これらは「狼男症候群」「アムブラス症候群」(多毛症)と呼ばれる奇病で、身体の各所に異常に多量の発毛が見られる。

男女問わず発症し、先天性と後天性のものが存在するといわれているが、今のところ原因も根本的な治療法も確立されていないそうです。

毛が生えてきてしまった領域での剃毛やワックス、レーザーを使用しての除去の実施で対処しているのだとか。

 

まとめ

今回の症状の発症は、オメプラゾールが何らかの原因によってミノキシジルに汚染されていたことが原因です。

オメプラゾールとは、胃の壁細胞に存在するプロトンポンプを直接抑制することによりH+の放出を阻害し、胃酸の産生を抑制する医薬品です。

胃食道逆流症や消化性潰瘍などの治療に使用されます。日本国内でもオメプラゾール製剤は医薬品として販売されています。

日本では腸溶錠、注射剤のみで、外国では錠剤やカプセル剤も販売されているそうです。

 

一方ミノキシジルは言わずもがなの脱毛症の治療薬ですよね。AGAは男性型脱毛症で、ミノキシジルは効果があります。

女性の場合でも壮年性脱毛症というものがあり、ミノキシジルが配合された医薬品は効果を示しています。

しかし、女性の場合に限っては、出産後の授乳期においてミノキシジルは禁忌とされています。なぜなら、ミノキシジルの成分が母乳中に移行するためです。ミノキシジルは未成年者への処方が禁じられています。授乳期の赤ちゃんならなおさらです。そのようなことが、今回のスペインでは発生してしまったのです。

 

親和クリニック大阪院で自毛植毛手術をしたあと、維持のために薬剤は使用しています。実際に男性型脱毛症、壮年性脱毛症を問わずミノキシジルは有用な医薬品ではあります。しかし、未成年者の摂取、接触はできうる限り避けた方が良さそうです。