薬機法について

薬機法という法律が存在するのをご暫時でしょうか。
正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言い、以前は薬事法とされていましたが、2014年(平成26年)11月に名称変更と共に施行された法律です。

医薬品や医療機器等の品質と有効性および安全性を確保するほか、保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止、指定薬物の規制、医薬品や医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進を目的に、製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定められているのです。

参考:e-Gov 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000145
参考:厚生労働省 医薬品・医療機器
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/index.html

薬機法違反は処罰されます

薬機法は医薬品や医療機器等の有効性・安全性を確保し、国民の生命と健康を脅かす可能性を排除するために必要な法律です。
今回、何故そのようなことを紹介したかというと、全世界を悩ませているコロナ禍の影響による薬機法違反の例を散見したからです。

この間、大阪府知事・吉村さんが会見で発したポビドンヨード成分を含むうがい薬の使用に関する発言もそのひとつです。
そこから一部の心無い人が買い占めに走り、オークションサイトやフリマサイトなどで転売を繰り返す状況となってしまいました。

ポピドンヨード成分を含むうがい薬の多くは第三類医薬品として分類されています。
第三類医薬品は、「日常生活に支障をきたす程度ではないが、身体の変調・不調が起こるおそれがある成分を含むもの」を指します。
その販売においては「薬剤師又は登録販売者」としての資格が必要です。

オークションサイトやフリマサイトに高値で出品している人のなかに、どれだけ条件を満たしている人がいるでしょう?
すべてとは言わないまでも、条件を満たしていない出品者がほとんどなのではないでしょうか。
まったく、呆れたものです。

もちろん、上記の違反者は法的に処罰されることになります。
許可なく医薬品を販売する行為は、医薬品医療機器等法(薬機法)第24条第1項に違反します。
医療機関で処方された医薬品やドラッグストアで購入した医薬品も、許可なく販売・転売できないのです。

転売だけじゃない法令違反

今回は悪質な転売行為に端を発しましたが、悩んでいる薄毛に関する商品でも、法令違反が発生する場合があります。
以前、テレビCMにおいて「はえる」というセリフを使ったものがありました。
しかしその商品は育毛剤であり、承認された効能効果は「育毛促進」と「発毛促進」です。
よって、「発毛」など毛が生えると言い切ってしまう表現は使用できない。
ということで法令違反となったのです。
また、インターネット広告において「発毛機構を解明」と記されたものがありました。
しかしこれは育毛剤であり、単に「育毛、発毛促進」等の効果が承認されている育毛剤にあっては、医薬品的標榜である「発毛」に関する表現をすることはできない。として法令違反になりました。

薄毛に悩む者にとって魅惑的な言葉である発毛とは、商品を販売するにあたっては科学的な実証を経て承認された医薬品にしか使用してはいけないのです。
ですから、実際、効果があるのかないのかを医学的にみとめられていないので、効果をボヤかしていたり、期待したりするような表現しかできないわけです。

しかし、古くからの言い伝えや漢方のように科学では実証されてはいないが突き詰めて検証すると何がしかの効果が期待できる可能性があるという商品もあるでしょう。
ボカした表現になってしまいますが。

法律というものは。いろいろと難しいのです。