脱毛症状もみられる自己免疫疾患

先日、関東に住む友人から連絡があり、「久しぶりに飲みたいね」と話していたのですが、このご時世ですので、オンラインで語り合うことにしました。
この友人は、全身の体毛がすべて抜け落ちるという症状に悩まされていて、複数の大学病院で診察を繰り返していました。しかし、明確な病名は判明せず、ドクターたちは明言をさけていたものの、どうやら免疫が関係しているのではないかとのことでした。
友人はそのことの相談と言うか、愚痴を聞いてもらいたくて連絡を取ってきたようでした。

AGAとは違う脱毛症状

友人は、頭髪や眉毛、まつげ、腕や足などすべての毛が抜け落ちている状況です。
私が20歳代前半から悩み続けてきたAGA(男性型脱毛症)は、おでこの生え際や頭頂部から脱毛が進行します。それ以外の体毛に関しては、不自然に抜け落ちるなどといった症状はありません。
これはあくまで素人の私の意見なのですが、多くのAGA発症者の症例を見ていると体毛は頭髪とは逆に濃い状態にある人が多いような印象を持っています。

免疫とは

まずは免疫とは何なのかを調べてみました。
免疫とは「疫から免れる」こと。疾病などからのがれるということを意味する言葉です。私たちの身の回りには様々な病原体が存在しています。
麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)などは、一度罹ったら二度と罹らない感染症です。
これは、我々の体内に侵入した病原体の情報を生体の防御機能である免疫が記憶するからです。
免疫システムは、体内に侵入した細菌やウイルスなどを異物として攻撃することで、自分の身体を正常に保つ働きをします。ワクチンは、この免疫の記憶を活用しているわけです。

参考:中外製薬
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/bio/antibody/antibodyp02.html

自己免疫疾患とは

自己免疫疾患とは、身体内の免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。自己免疫疾患の一症例として、円形脱毛症の症状が顕れることがあります。
しかし、必ずしも免疫系の疾患だけによるものであるとは断言できないのが現状です。
実は円形脱毛症は、未だに正確な要因が特定されておりません。その中の有力なものとして、免疫機能の異常に関連するといった説があるという状態です。

参考: NHK健康チャンネル
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1239.html

抗原から身体を守る免疫

体内にある免疫系は、何らかの物質を異物や危険な物質であると認識すると、その物質から身体を守ろうとします。
物質には、細菌、ウイルス、蠕虫などの寄生虫、特定のがん細胞などです。ほかにも移植された臓器や組織を異物と認識してしまうこともあるのだそうです。
これらの物質には、免疫系が認識し、免疫系による反応を刺激する分子が含まれ、それは抗原と呼ばれます。
抗原は、細胞の内部や表面に存在したり、ウイルスの一部であったりします。
季節ごとに多くの人が悩まされる花粉は、それ自体が抗原となるものとされています。

参考:MSDマニュアル家庭版 自己免疫疾患
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/15-%E5%85%8D%E7%96%AB%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%8F%8D%E5%BF%9C%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E9%81%8E%E6%95%8F%E6%80%A7%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%85%8D%E7%96%AB%E7%96%BE%E6%82%A3

AGAと免疫系の疾患との関係性は?

私も悩まされ続けてきた脱毛症の一種であるAGAですが、自己免疫疾患との関連性はないようです。
AGAは遺伝型の疾病でありとされています。それは、薄毛の遺伝情報が染色体により受け継がれるからです。
細胞中の染色体は遺伝子情報が記憶されており、それは親から子へ受け継がれます。
染色体にはXとYがありますが、このうちX染色体が薄毛の遺伝子情報をもっています。男性として生まれたヒトは、母親のX染色体と父親のY染色体を受け継ぎます。そのため、母方に薄毛の男性がいればその遺伝子を引き継ぐ確率が高くなります。
このように、AGAが発症する可能性を左右する遺伝子の系譜には、自己免疫は関連してきません。
そのため、頭頂部の薄毛や生え際の後退などAGA進行のサインが顕著に表れた場合、薄毛化を望まないのであればすぐに専門医へ相談することをお勧めします。
私は若年時の発症から20年ほど放置してしまっていたため、薄毛化が進行してしまいました。
梅田の親和クリニック大阪院で自毛植毛手術で最悪の事態は逃れたものの、移植できる髪の限界量ギリギリでした。
私が若い頃は、自毛植毛という抗AGA対策は一般的ではなかったため、選択肢にあがりませんでした。しかし現在は違います。今では20~30代の若い人が相談に訪れているそうです。
薄毛の悩みを解消するには、早期の治療が効果的でありコストダウンにつながるのは間違いありません。