育毛サプリの成分をおさらい

世間には、育毛を謳ったサプリメントが数多く販売されています。
「○○を配合!」とか紹介文に書かれているアレです。
ネット通販のサイトを見ただけでも、数え切れないほどの商品が陳列されていますが、正直なところどれを選んでいいのか分からない…。なんて思ってしまう人もいるでしょう。
そこで、植毛(=自毛植毛)手術をして以来、レポートを書き続けた経験?!を活かし、今回は、育毛を謳うサプリメントに含まれがちな成分について説明します。

まずサプリメントとは、厚生労働省が定めた「食薬区分」には属さず、かといって医薬品でもなく、「食品」に分類されるものです。
頭髪の成長に必要となる栄養を補給することで、頭皮環境を整え育毛を促進、薄毛の進行の予防などに役立てる、あくまで食品なのです。
プロペシアやミノキシジルといった「医薬品」とは違い、これによってAGAを抑制できるものではありません。
育毛サプリメントは、摂取することで身体が持つ機能の働きをサポートし、それにより頭髪の成長を促進させるというものなのです。
育毛サプリに含まれている有効成分には、天然由来の植物などから抽出される物質が使用されていることが多いです。

●ノコギリヤシ
まずは、良く目にするであろうノコギリヤシについて紹介しましょう。
ノコギリヤシには、薄毛の原因を作り出す酵素の5αリダクターゼを阻害する働きがあると考えられています。
AGAの原因である男性ホルモンのジヒドロテストステロンの生成を抑制できるので、薄毛や抜け毛の予防効果があるとのことです。
しかしながら、これには科学的なエビデンス(根拠)は示されておりません。
過度な期待を寄せることは避けた方が良いかもしれません。

厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業
http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c04/41.html

●亜鉛
亜鉛は細胞分裂を正常に行ない、正しく細胞を作ったり、たんぱく質を合成することに関わっています。
健康な身体を作るために必要不可欠なミネラルのひとつです。
体内に取り込まれたタンパク質は一度アミノ酸に分解され、その後に再合成することになります。ここで亜鉛が必要不可欠となるのです。
頭髪はケラチンというタンパク質で構成されています。このタンパク質を合成するためにも亜鉛は必要な成分なのです。
また、皮膚を健康な状態に保つためにも、亜鉛は不可欠。
亜鉛は日常的な食事でも摂取できますが、食が偏りがちな人や、植物性の食事をメインとしているひとは不足がちになってしまいます。
そのような場合はサプリメントで補うと良いでしょう。
しかし、亜鉛は1度にたくさんとると吸収率が低下するという特徴があるので、
サプリメントで摂取する場合は低含有量のものを1日数回にわけて摂るのが効果的なようです。

●カプサイシン
カプサイシンは、身体の血行を促進させる成分とされています。
血流を活発化させることで、頭髪を育てる毛母細胞へ必要な栄養をきちんと行き届かせ、
その結果として成長を促すことに繋がるというわけです。カプサイシンに含まれる成分が直接的に髪の何に効くとかいうものではなく、あくまで血流促進という補助的な役割になります。
主に唐辛子を使った料理を食べることで体内に摂り込めますが、辛いものが苦手な方はサプリメントで補うといった感じでしょうか。
進行しているAGAを食い止める役割はありません。

●ビタミン類
各種ビタミン類髪の毛を成長させるために必要な栄養素です。
ビタミンは体内に溜めておくことができないので、必要に応じて摂取することが重要です。
育毛に有効なビタミンは、ビタミンB7のビオチン、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンEとされています。
ビオチンは毛細血管を太くする作用があるので、毛髪へ栄養を行きわたらせるには不可欠ですね。
しかし、ビタミン類は多く摂取すればいいというものでもありません。
ビタミン剤には水に溶ける水溶性のものと、油に溶ける脂溶性のものの2種類があります。
水溶性は過剰に摂取しても尿として体外へ排出されますが、
脂溶性のものは、体内へ吸収されやすく尿へ排泄されないため、摂りすぎにより過剰症をおこすこともあるのです。
使用性のビタミンはビタミンA、D、E、Kです。過剰症の多くは食欲不振や頭痛、下痢、嘔吐などですが、
なかには脱毛の症状が出てしまうものも報告されているそうです。それはビタミンA。これは避けたいですよね。
ですので、できるだけ日常の食生活で摂取することを心がけつつ、それでは不足しているようなら、補助的にサプリメントで摂取するといいでしょう。
すべてにおいて言えることではありますが、摂取時には、パッケージにある用法・用量をキチンと守りましょう。

●ナットウキナーゼ
ナットウキナーゼは、血栓の素となるタンパク質のフィブリンを溶解する酵素のことです。
納豆を生産する際の発酵過程で、大豆に生成される栄養素のひとつがナットウキナーゼなのです。
フィブリンはタンパク質の塊で、血管中にできたフィブリンが障害物となり、血管中の血液の流れが阻害されてしまいます。
この塊が大きくなると血流が阻害され、身体へ栄養が行き渡らなくなってしまうのです。これがさらに進行すると育毛のみならず、血管の破裂や血流の停滞などにも繋がってしまい、最悪の場合は死亡してしまう症状に派生することもあります。
それを回避するため、ナットウキナーゼが有効だということです。
ナットウキナーゼは納豆のネバネバに含まれているので、納豆を日々の食事に摂りいれることで摂取できますが、
納豆が苦手な方はサプリメントで補う方法もあります。

このように、「育毛」を謳ったサプリメントは多岐にわたって販売されています。
ここで紹介した者以外にも、宣伝文として使用されているものもあります。
何が使われていて、それはどう育毛に良いのか。
いきなり手を出すのではなく、そのことをご自身の目で確認なさってから商品を選択することが大切です。
私自身は、植毛(=自毛植毛)手術を選択しましたが、これは、髪の毛を増やす手術ではありません。だからこそ、日々のケアが大切だと感じています。