老化研究に大いなる前進

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人は誰しも時間の経過とともに老化が進行していきます。

人はいずれ死ぬ。これは自然の摂理であり、抗いがたい事実です。
しかし、そんな人体の老化を抑制できるかもしれない研究を、東京大学医科学研究所の城村由和助教、中西真教授らのグループは行なっています。

今回、マウスを使った実験で「老化細胞」だけを死滅させる薬剤を投与し加齢に伴う体の衰えや生活習慣病などを改善することに成功したとアメリカンの科学誌『サイエンス』に発表しました。脱毛も老化現象のひとつ、若い時の薄毛は、自毛植毛手術で改善しましたが、これから、加齢とともに薄毛が進行することもありますので、興味のある話です。

参考:東京大学医科学研究所
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00033.html
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00065.html

細胞の老化は加齢性疾患の発症原因

私たちの身体を構成する細胞は、加齢と伴に老化していきます。

老化細胞とは、細胞が老化する原因はあらゆるストレスとされており、老化が発生すると細胞の増殖は不可逆的に停止することが知られています。つまり、細胞が増殖できなくなってしまった状態のことです。

いまから60年ほど前、アメリカのヘイフリック博士が、正常なヒトの細胞を試験管の中で培養していくと、一定の分裂回数のうちに増殖を停止して、二度と増殖できなくなることを発見しました。

細胞の分裂回数は有限であることが知られており、これをヘイフリック限界と呼びます。

この状態になってしまった細胞を老化細胞といいます。

参考:東京医療保険大学
https://www.thcu.ac.jp/research/column/detail.html?id=166

細胞は常時ストレスにさらされており、ストレス過多になった場合は、遺伝子に傷が入ったり、構成するタンパク質がダメージを受けたりします。

軽微なダメージなら細胞は修復できますが、修復不可能な損傷の場合では、細胞そのものを殺すか、細胞の老化を誘導し異常な細胞を蓄積させない仕組みが働きます。

その結果、細胞は増殖できない老化細胞へと変化するのです。

そして、この老化細胞が臓器組織の機能低下や老年病などの発症を誘発するというのが最も基本的な「老化のメカニズム」のひとつです。

同研究グループは、まず老化細胞の生存に必須な遺伝子を探したそうです。

それが「グルタミナーゼ1(GLS1)」という遺伝子であることを突き止め、老化細胞はリソソームと呼ばれる細胞内小器官の膜に傷ができ、細胞全体が酸性に傾くがグルタミナーゼ1が過剰に働くことで中和され、死滅しないまま細胞を維持することも解明したそうです。

そこで、この遺伝子「GLS1」の働きを止める薬剤をマウスに投与したところ、個体から老化細胞が除去され、加齢に伴う多様な症状の改善や健康寿命の亢進、さらには動脈硬化症などの加齢関連疾患の病態が改善することが分かってきたそうです。

老化による薄毛や脱毛の悩みも解決!?

先にも書きましたが、時間の経過と共に人は誰しも老いるのは当然のことです。

生活習慣病の発症リスクは高まり、身体の機能は低下していく。もちろん、頭髪だって色素の脱落(白髪化)や毛量の低下なども起こります。それらは細胞が衰えることが原因のひとつです。

しかし、この研究で抑制・制御される未来が見えてきました。

それでも限界はあるのでしょうが、アンチエイジングの観点からは光明が見えてきたといえるのではないでしょうか。

AGA(男性型脱毛症)の発症は遺伝に起因するものですので、加齢による身体的な衰えで左右されるものではありません。私は、20歳代前半から症状が発現していました。

しかし、先にも触れたように加齢により進行速度は上がる可能性も無視できません。

20~30歳代で生え際の後退や頭頂部の脱毛といった過度な薄毛に悩まれているようでしたら、専門のクリニックで相談してみることをお勧めします。

自毛植毛手術をはじめ、最適な解決法を提示してくれるはずです。