歳をとると毛が薄くなる仕組みを解明~前編~

少しまえの記事で恐縮ですが、まずはこちらをご覧ください。

国立大学法人 東京医科歯科大学
http://www.tmd.ac.jp/press-release/20160205/index.html

東京医科歯科大学の西村栄美教授(難治疾患研究所 幹細胞医学分野)率いるチームが、
加齢による薄毛・脱毛の仕組みを明らかにしました。

AGAは男性ホルモンの影響によるものだとわかっており、現在では治療薬の開発に加えて、
私が親和クリニック大阪院で受けたような植毛手術(=自毛植毛手術)による対処法も確立されています。

しかし、加齢性の薄毛や脱毛のメカニズムについては世界中で研究されていますが、
未だ治療法の開発へと辿り着けずにいるのが現状です。
そこへ、「幹細胞」に着目して仕組みを解明しようというのが、同教授の研究なのです。
西村教授は毛髪の色を決定づける色素幹細胞を世界で初めて同定し、
以前から毛を作り出す幹細胞の研究を行っているのです。

人間の毛髪は、生えてから3~5年かけて伸び、その後に休止期を挟みます。
そして数カ月間にわたる準備期間の後に同じサイクルを繰り返す。
西村教授は、このヘアサイクル(毛周期)において中心的役割を果たす毛包幹細胞に着目し研究。
毛包幹細胞とは、毛髪を生み出す毛包の中に存在し、自己複製により自分自身を維持すると同時に、分化して毛を作る細胞を供給しているのだとか。
そこで教授は、マウスを使っての加齢による変化を観察。老化の進んだマウスの毛包を調べたところ、毛包そのものがミニチュア化しており皮膚も薄くなっているのが見受けられた。
また幹細胞マーカーを使った解析では、毛包が複数個所で無くなってきていることも判明したそうです。

こうした傾向はヒトでも同様で、20~70代の男女の側頭部の皮膚を比較・調査したところ、
明らかに50代以上の人の毛包が小さく、毛包の数も少なくなっています。
しかも、若い人はひとつの毛包から3本ほどの毛が生えているのに対し、
50代以降は1~2本に減り、総じてボリュームが少なくなるそうです。
「加齢による薄毛の場合は、毛包が小さくなって毛を再生させるサイクルもうまく機能しなくなってくる。きちんと生えてこないことが問題なのです」
とは、西村教授の弁。

さらに経年による毛包幹細胞のメカニズムを探ったところ、
毛が抜けて次の再生が起こるべきタイミングであるにもかかわらず、
毛包幹細胞が再生せずそのまま表皮の角化細胞に姿を変えていることもわかったそうです。
本来であればサイクルを繰り返すはずであるが、フケや垢になって剥がれ落ちてしまっていたというのです。
これは、幹細胞が自己複製を繰り返す際、加齢とともにDNAに傷が残りやすくなるためで、
加齢した毛包幹細胞においてはDNA損傷の修復に関わる遺伝子発現が下がっているためだそうです。
DNAの損傷を修復する能力が下がり、DNAの損傷応答が何らかの形で記憶された結果が、毛包幹細胞の老化につながっていると考えられるそうなのです。
つまり、老化とともにDNAの再生力も弱まってしまい、そのため毛包幹細胞も老化してしまい毛を生み出すことができなくなってしまうということです。

・・・と、今回はやや難しくて長くなりそうですので、続きは後日に報告させていただきます。
まとめている私自身、頭を使いすぎて髪が抜けそう!?ですので。