核、放射能について

世界的に新型コロナウィルス感染症(COVID-19)と戦っている最中、東欧では戦禍により多数の尊い人命が失われました。
目に見えない敵である病。横暴な侵攻者。いずれも罪のない命を奪う災厄です。

日本も80年前は、世界大戦の当事国でした。
先の戦争は日本本土の広島と長崎に原子力爆弾を投下されるという悲劇を呼び、その後に終戦を迎えました。日本は世界で唯一の被爆国です。

世界大戦が終結しても、世界では戦火がとどまることはありませんでした。
アジアの国々に東西冷戦、そして中東。いつしか各国が保有する核兵器の総数は、地球を何回も破壊してなお余るほどの規模となりました。
お互いが核兵器を持つことにより、報復攻撃を警戒してうかつに使用できない緊張状態が続きました。

そんな時、東欧で悲劇的な発電所事故が発生します。
1986年4月26日、旧ソビエト連邦ウクライナ共和国の北辺に位置するチェルノブイリ原発で、原子力発電開発史上最悪の事故。
保守点検のため前日より原子炉停止作業中であった4号炉が、急激な出力上昇をもたらす暴走事故が発生し爆発に至りました。このときは大量の放射能が放出され、遠く離れた日本でも観測されました。

そして、忘れもしない2011年3月11日。東北地方太平洋岸沖を震源とする、マグニチュード9.0の巨大地震が発生。
福島第一原子力発電所が被害を受け、それによって大規模な原子力事故が発生しました。
近代の世界史を語るうえで、避けては通れないのが放射能の脅威です。

出典:NHK
https://www.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/no-more-hibakusha/

出典:京都大学複合原子力科学研究所
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/Henc.html#:~:text=1986%E5%B9%B4%EF%BC%94%E6%9C%8826,%E3%81%97%E7%88%86%E7%99%BA%E3%81%AB%E8%87%B3%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82

出典:東京電力ホールディングス
https://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/

発電にも利用される放射性物質

ロシアのウクライナ侵攻による戦禍では、ロシア軍はウクライナ北部にあるチェルノブイリ原子力発電所を占拠するという暴挙に出ました。
およそ1カ月以上にわたって占拠したロシア軍は撤退したのですが、その際に制限区域内にある研究所から133個の高レベルの放射性物質を盗み出したことが判明しました。
目的は不明ですが、それだけに恐ろしい想像をしてしまいます。

出典:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022041000461&g=int

出典:テレ朝news
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000251001.html 

違いは何なのか

放射性物質・放射線・放射能と様々な用語が使われていますが、その違いは何なのでしょうか。環境省がサイト内で分かりやすく説明してくれていますので、そこを例に説明します。

出典:環境省
http://shiteihaiki.env.go.jp/radiological_contaminated_waste/basic_knowledge/how_different.html

まず放射性物質とは、放射能を出す物質のことを指します。カリウムやセシウム、ヨウ素などが放射性物質です。
そして放射線とは、放射性物質から放出されるものです。アルファ線、ベータ線、ガンマ線、エックス線など、さまざまな種類があります。
放射性物質から放射線を出す力が放射能というわけです。

放射線は、目に見ることも触れることもできません。臭いもないので、人間が感じることはできないものです。そして放射線は、もともと自然界に存在します。私たちは日常生活の中で、たえず色々なものから放射線を受けながら暮らしています。

しかし、日常的な放射能とは比べ物にならないほどの高濃度放射能を浴びてしまうと、人体は放射線によって傷ついた細胞を十分に修復することができなくなり、影響が出るとされています。

出典:中部電力
https://www.chuden.co.jp/energy/nuclear/radiation/influence/

病の治療にも利用される放射線

医療において、放射線は主にがん治療で活用されています。
患部に放射線をあてることにより、細胞のDNAに損傷を与え、がん細胞を破壊します。

出典:国立がんセンター
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/radiotherapy/index.html

放射線治療を受けると副作用として、

※※ここから引用※※
頭部で脱毛、口腔で口の渇き、味覚の異常、胸部で咳、息切れ、腹部で軟便や下痢など、
照射される部位によってさまざまな副作用が起こる可能性があります。
※※ここまで引用※※

私の母は肺がんを患い、放射線治療を受けていました。そのため、母も副作用で脱毛症状が発症しました。
がんに罹患する年齢はひとそれぞれで、必ずしも年老いてからというわけではありません。
20~30歳代の若いうちに罹患する方も増えているそうです。
そして、がん治療で何よりも大事なのは早期発見と早期治療です。これにより、重篤な状態まで至ることなく快復する方も多いのです。

放射線治療の副作用で頭髪はもとより体毛まで抜け落ちてしまう方もいますが、がんが寛解し放射線治療を終えると、脱毛した毛髪が再生してきます。
放射線の影響により一時的に脱毛しただけで、頭髪を成長させる機能が損なわれたわけではないからです。
放射線による治療を受けると、照射された部位の皮膚は皮膚炎を起こします。
炎症が悪化して毛根までダメージを受けることで、脱毛が引き起こされるのだそうです。

比較するわけではないけれど…

脱毛症状という一点に注目してみると、放射線による脱毛とAGA(男性型脱毛症)とは違います。
AGA由来による脱毛症状は皮膚炎ではなく、もっとDNAに由来するものです。
テストステロンと5αリダクターゼの結合による、DHT(ジヒドロテストステロン)の発生することでAGAは発症します。
頭皮の毛乳頭細胞には男性ホルモンレセプターと呼ばれる受容体が存在し、DHTは男性ホルモンレセプターに取り込まれます。
男性ホルモンレセプターにDHTが取り込まれると、脱毛因子であるTGF-βが発生し、髪の毛を成長期から退行期へと移行させます。
その結果、頭髪のヘアサイクルが乱れ脱毛が加速し、薄毛が進行するというメカニズムです。

私は梅田の親和クリニック大阪院にて抗AGAの切り札である自毛植毛手術を受診し、AGA由来の薄毛化を食い止めました。
また術後に服用している飲み薬のデュタステリドや外用薬のハイブリッドミノキシジル効果で、移植した部位以外の頭髪もAGAの進行を抑制しています。

まとめ

髪の悩みを気にできるのは、日本の平和な社会があってのことです。
平和な社会の貴さを改めて感じます。

ロシア軍による放射性物質の流出や高レベル放射能がバラまかれたとしたら、もっと言えば、ロシア軍による核兵器を使用されたら、考えれば考えるほどは恐ろしいです。

出来ることは大きくありませんが、 まず今回の戦禍により命を失われた方々へ謹んで哀悼の意を捧げたいと思います。