ハゲを逆転させて元に戻す!?

米国ノースウェスタン大学の研究チームは、生物の幹細胞が老化とともにどうなるかといった変遷の追跡監視を行い、その結果、幹細胞が本来あるべき位置から移動してしまい、移動先の環境に慣れずに死んでしまうことを発見したと発表しました。

研究チームは、観察する幹細胞として、毛包にある毛包幹細胞に注目し観察を行いました。
一般に毛髪の成長と脱毛の自然なサイクルを経る中、幹細胞の集団は毛包細胞を生成し続けるため毛包内に留まっていると考えられていました。しかし、研究チームの調査では、いくつかの幹細胞が毛包内から真皮へ移動してしまっていることを発見しました。
(※これは幹細胞を固定する接着剤が失われるためとし、研究チームはこの接着剤を作り出す遺伝子も特定していると言います。)

それを踏まえ、もし、移動してしまう幹細胞をもとの位置に戻すことができれば、脱毛現象を逆転させられるかもしれないというのです。

出典:Nature Aging
https://www.nature.com/articles/s43587-021-00103-w?proof=tr

参考:New Atlas
https://newatlas.com/medical/stickiness-stem-cells-hair-loss-baldness-treatment/

参考:Northwestern Now
https://news.northwestern.edu/stories/2021/10/of-balding-mice-and-men-and-women/

毛根が死滅する理由は…

私たちの毛は成長と退行を常に繰り返しています。これはヘアサイクルと呼ばれています。
一般的に薄毛やハゲと呼ばれる状態が発生するのは、この毛包が縮小し毛髪を生み出す機能が失われてしまうことで起こります。
毛髪は毛母細胞から作られますが、毛包内のバジルと呼ばれる領域に存在する「毛包幹細胞」が分化してこの細胞を作り出しています。
毛包が機能しなくなるのは、毛包幹細胞が老化とともに減少してしまうためなのだと考えられています。
つまり、毛包幹細胞が老化とともに減少してしまうことを防げれば、ハゲ化を防ぐことができるかもしれないということです。

老化で起きていた現象を観察

従来の研究でも若い状態ではたくさんあった毛包幹細胞が、老化後に減少していることは確認していました。
しかし、老化によって実際何が起きているのかはよくわかっていませんでした。
そこで同大学の研究チームは、モデルとして生きたマウスを使い、幹細胞の変化をリアルタイムに監視を行ないました。
研究チームはマウスの毛包幹細胞に緑色蛍光タンパク質で標識とし、長波長レーザーを使って何日も繰り返し観察しました。その結果、研究チームは異常な幹細胞の移動を発見しました。

細胞の接着剤がなくなっていた

次に、研究チームは卵胞幹細胞における若い動物と古い動物の間の遺伝子発現レベルを比較しました。
そして、古い毛包幹細胞の接着に関与する遺伝子の発現が少ないことを発見しました。
毛包幹細胞には、正しい位置に細胞を固定している接着剤のようなものがあり、それが老化とともに失われてしまうため、毛包幹細胞は本来の場所からズレていき、真皮に移動し、環境が変わったため、それに対応できず、その結果死滅してしまうというのです。

遺伝子の修復で毛髪が蘇る!?

毛包幹細胞の移動と脱毛の関係を確認するため、研究チームはこの特定された細胞接着遺伝子のFOXC1とNFATC1を発現できないようにしたマウスを作成しました。
その様子を観察するとマウスは4カ月程度で急速に脱毛が進行し始め、12~16カ月以内には完全にハゲてしまったと言います。
これは、この2つの細胞接着に関連した遺伝子がハゲの原因である可能性を示唆するものです。
このことから、研究チームは該当する遺伝子を修復することで、再び毛髪が蘇る可能性があるとして、追加の実験を行っていると言います。

まとめ

今回の調査結果は、毛髪やその生成組織がどのように老化するかについての新しい考えを提供しています。
もし今後の研究がうまく進めば、薄毛化という現象を逆転させて、再び毛髪が生える状態を取り戻せるかもしれません。
ただ私が気になるのは、この毛包幹細胞の移動・死滅による毛包の機能停止による毛髪の脱落は、AGA(男性型脱毛症)由来の毛髪の脱落とも関係性があるか否かということです。
AGA由来のハゲ化をも抑制できるのであれば、曽根崎通・桜橋交差点そばの親和クリニック大阪院で私が行なった自毛植毛と同様、ゆくゆくは多くの男性を救うため研究だと思います。
研究の概要や研究をとり上げた記事では、AGAに関するワードが取り上げられていませんでしたので、その詳細は分かりません。

ともかく、機能停止した毛包を蘇らせることができるようになるかもしれない研究というのは、我々のような薄毛化を食い止めようと努力している者にとっては朗報と言えます。

ただ、研究が順調に進んだとしても、実用化は何年も先のことでしょう。
進行性のAGAはまったなしです。すでに悩まれている方は、いま出来る最善策のひとつ、自毛植毛を視野に入れてみては如何でしょうか。